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出典:http://www.honda.co.jp/Fit/

エコカーブームの波に乗り、ハイブリッド車が人気となっています。

ガソリン車と比較しても圧倒的な燃費の差を生むハイブリッド車は、低燃費であることが大きなメリットとなり売れ行きも好調、現在の車の主流となりつつあります。

ただ、単純に比較してガソリン車よりお得になるということではなく、購入したユーザーの使用状況によりお得とはいえない場合もあります。

では、どのような用途でお得なのか?また、どのようなユーザーが使用すると損となってしまうのか?

ホンダ・フィットを例にして、ガソリン車とハイブリッド車の比較をしたいと思います。

ハイブリッド車の車両価格は高い

自動車の税金

ガソリン車と比較するとハイブリッド車の車両価格は高くなります。

もちろん、部品点数などもガソリン車より多くなりますし、作業工程も複雑化しますし、モーターやバッテリーを積むスペースを確保しながら室内スペースも犠牲にしない工夫など、開発時よりコストがかかることも車両価格に反映されています。

それでも、ユーザーは低燃費になることによるガソリン代の削減で維持費が安くなることでハイブリッド車はお得になると判断して購入します。

ですが、ここで、事細かにガソリン車とのトータルでの維持費の比較をしているユーザーが少ないのも事実です。

ハイブリッド車とガソリン車の車両本体価格の差

ホンダのコンパクト車といえば人気のフィットですが、このフィットにはガソリン車とハイブリッド車の両方の設定があります。

最近では、街中を車で走行していてもフィットが走っているのを見るとハイブリッド車の多さが目立つようになってきています。

それだけ、フィットではハイブリッド車が選ばれているということです。

ですが、ガソリン車とハイブリッド車との価格差が小さいと言われているフィットでさえ、諸費用を含めた見積金額の相場は下記のような開きがあります。

ハイブリッド車(HYBRID) 1,810,520円 - ガソリン車(13G) 1,440,140円 = 差額 370,380円

※ ()はグレード名で、ともにスタンダードモデルとなり、メーカー・ディーラーオプションなし

この差額をどのように判断するかですが、一般的にはガソリン代での比較となるでしょう。

その比較をするには、それぞれの燃費データも必要となります。

ハイブリッド車(HYBRID) 36.4km/L - ガソリン車(13G) 26.0km/L = 燃費差 10.4km/L

※ ()はグレード名で、ともにスタンダードモデルとなり、メーカー・ディーラーオプションなし

平均的な年間走行距離で比較した場合

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中古車査定などでは、車の走行距離の平均値を1年1万kmとしているので、ここではこの数値を使用します。

ハイブリッド車(HYBRID) 36.4km/L

10,000km ÷ 36.4km/L ≒ 274L

ガソリン代120円と仮定  120円 × 274L = 1年間のガソリン代 32,880円

ガソリン車(13G) 26.0km/L

10,000km ÷ 26.0km/L ≒ 384L

ガソリン代120円と仮定  120円 × 384L = 1年間のガソリン代 46,080円

ガソリン車(13G) 46,080円 - ハイブリッド車(HYBRID) 36.4km/L 32,880円 = 13,200円

一般的な比較方法としての、ハイブリッド車とガソリン車の年間使用するガソリン代では、このようにわずかな差額しかありませんので、見積金額の相場から考えるとハイブリッド車がお得であるとは言い切れないでしょう。

お得かどうかは、年間の走行距離にもよりますし、ユーザーの使い方による影響が大きいといえます。

走行距離のみで言えば、年間1万km程度の走行距離では差が出ないので、3万km・4万kmとより多くの距離を走行する方がお得であるということが言えるでしょう。

エコカー減税でハイブリッド車が圧倒的に有利?

エコカーであるハイブリッド車は、車を購入する際の税金などの諸経費が免除されますので、この点でもハイブリッド車を新車で購入する際には、お得な点といえるでしょう。

エコカー減税の適用の面で優れているフィットのハイブリッド車は、新車購入の際の自動車取得税と自動車重量税が全額免除となりますので、この2つの税金は0円です。

くわえて、自動車税に関しても購入時には通常通りの額となりますが、新車購入の翌年の自動車税が75%軽減されます。

ハイブリッド車(HYBRID) 購入時の税金

  1. 自動車税 4月購入の場合 34,500円
  2. 自動車取得税    0円
  3. 自動車重量税    0円

合計金額 34,500円

ガソリン車(13G) 購入時の税金

  1. 自動車税 4月購入の場合 34,500円
  2. 自動車取得税    12,900円(60%減税
  3. 自動車重量税    7,500円(50%減税

合計金額 54,900円

ガソリン車(13G) 54,900円 - ハイブリッド車(HYBRID) 34,500円 = 20,400円

新車購入の翌年の自動車税の比較

ガソリン車(13G) 34,500円 - ハイブリッド車(HYBRID) 9,000円 = 25,500円

フィットハイブリッドのエコカー減税のまとめ

購入時の差額 20,400円 + 翌年の自動車税減税 25,500円 = 45,900円

エコカー減税の効果とガソリン代で比較したら

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このように、車を購入する際にもエコカー減税で圧倒的に有利となるハイブリッド車。

フィットハイブリッドも例外ではありません。

ですが、先にも説明したとおり見積金額の差が大きすぎて、ガソリン代とエコカー減税の効果が少ないと言わざるを得ず、焼け石に水の状況です。

見積金額の差は37万円ですから、このような計算となります。

370,380円 - 45,900円(エコカー減税差額分) = 324,480円

実際に、エコカー減税での差額を計算しても、尚、32万円以上の差額がありますから

324,480円 ÷ 13,200円(1年間のガソリン代の差額) ≒ 24年間

何と、24年間もの間、フィットハイブリッドに乗り続けなければならない計算となります。

ただ、先ほども説明したとおり、年間の走行距離が多く3~4万km以上走行する方にとっては、10年経たずにガソリン車との見積金額の差を埋めることができますが、そんな距離を走る用途で購入する方が、フィットハイブリッドを選んで購入するでしょうか?

そのような方は業務で使用する方が多いと思いますから、維持費で有利な軽自動車やガソリン車で低燃費の車を選ぶはずです。

ハイブリッド車には大きなリスク要素がある

ハイブリッド車にあってガソリン車にないものとして、バッテリー交換のリスクがあります。

ガソリン車のバッテリーとは違い、ハイブリッド車のバッテリーは高額ですから、交換する際には交換工賃を含めて多額の費用がかかります。

おおよその費用としては30万円程度と言われているので、日頃の使用状況が近所での買い物や10km未満の通勤などに絞られる場合は、ガソリン車を選択するほうが適切であることが多いです。

それと、フィットハイブリッドのバッテリーやモーターの交換は不意な出費になりやすいため、事前の準備ができていないケースで交換となると経済的ダメージは計り知れません。

ですので、低燃費だからハイブリッド車にしたい、という選択が正しいのかどうか、ご自身の使用用途を考えて、フィットを購入する場合はハイブリッド車とするかガソリン車とするか時間をかけて検討すると良いでしょう。