出典:http://www.suzuki-finance.co.jp/credit/kaeru-plan/kaeru-plan_36/index.html
車を通常より安く購入できる方法として、残価クレジット(残クレ)を利用する人が増えています。
通常の自動車ローンより月々の支払額を抑えることもできますので、購入したい車のワンランク上の車種を購入することも可能となり人気の購入プランとなっています。
例えば、人気のミニバンやSUV、ハイブリッド車などを購入する予定の人でも、ワンランク上の車種を購入することが可能なのが残価クレジットなのです。
ですが、残価クレジットを利用することはメリットばかりではありません。
当然ですが、デメリットもあります。
では、残価クレジットを使用することのメリットとデメリットとは何なのか?
残価クレジットのシステムの説明も含めて説明します。
目次
残価クレジットの仕組み
残価クレジットとは車を購入する際のシステムの一つで、車両本体価格から予め決められた割合の価格を差し引いた残金のみをローンで支払っていくシステムです。
車両本体価格が100万円の車で残価設定が50%だとすると、残金の50万円のみが対象となるということです。
もちろん、支払金額には金利が発生しますので50万円とはいきませんが、通常通りのローンを組むより月々の支払額が少なくなるので、ローンの返済が楽になるというメリットがあります。
ここでは、一例としてスズキ(スズキファイナンス)が取り扱っている残価クレジット・かえるプラン(新車)を例にとって、システムの説明をしたいと思います。
かえるプラン(新車36回払い)
項目 | 新車 |
---|---|
対象車種 | スズキ軽乗用車、登録車 ※福祉車両を除く |
ユーザー手数料 | 軽乗用車 実質年率3.9% 登録車 実質年率2.9% |
残価率 | 軽乗用車→車両本体(税抜)の50% 登録車→車両本体(税抜)の40% 残価保証 |
お支払回数 | 36回(35回+1回) |
対象ユーザー | 個人ユーザー(法人名義は不可) |
契約終了時の自動車引取条件 | 走行距離40,000km以内(超過1kmにつき5円) 自動車の査定による減点が50点以内(超過分精算) |
キャッシュバック特典
項目 | 金額 |
---|---|
スズキ車へお乗換え:新車 | 20,000円 |
走行距離が30,000km未満 | 10,000円 |
自動車の査定による減点が50点以内 | 10,000円 |
禁煙車 | 10,000円 |
かえるプランのポイント
1:月々の支払額を抑えることができる
月々の支払いを抑えることができる、残価クレジットの最大の特徴といえるでしょう。
通常のローンを組むより月々の出費を抑えられるため、ワンランク上の車を購入することも可能です。
車両本体価格の一部を残価として設定するため、その分の額の支払いがローンを組んだ金額から除かれます。
残価設定の金額は最終回支払額として設定され、3つの支払い方法の中から、あなたが選ぶことができます。
2:最終回の支払い方法は、あなたが選ぶことができる
最終回の支払いは、あなたのその時の状況により、3つの方法の中から選ぶことができます。
車を返却してスズキ新車に乗り換え
かえるプランで購入した車をスズキに返却して、新しいスズキの新車に乗り換えます。
特約書または特約条項の規定内の車両の状態で返却できることが前提です。
車を返却する
かえるプランで購入した車をスズキに返却します。
特約書または特約条項の規定内の車両の状態で返却できることが前提です。
そのまま乗り続ける
かえるプランで購入した車に、そのまま乗り続けるために残価分を支払う契約をします。
特約書または特約条項の規定内の車両の状態であれば、追加の費用なく乗り続けることが可能です。
乗り続けるための残価の支払いは一括払いと分割払いから選べます。
3:メンテナンスパック付き
かえるプランの期間中のエンジンオイルやエンジンオイルフィルタの交換や、法定1年点検が無料で受けることができるサービスです。
本来、自分で交換する必要があるエンジンオイルやエンジンオイルフィルタの交換の費用と法定1年点検の費用が、かえるプランの期間中は一切かからずに無料で良いということです。
さらには、新車1ヶ月無料点検と新車6ヶ月無料点検も無償で受けられるので、車のメンテナンスはスズキに任せておけばOKです。
4:残価保証
かえるプランで車を購入した際に、重要な要素の一つが残価が保証されるかどうかです。
かえるプランで36回ローンの支払いが終わった後に、「中古車市場で価格が下がったので、その不足分を追加でお支払いください」なんて言われたら納得いきませんよね?
残価保証というのは、そういうことがあったとしても残価が保証されるということです。
5:キャッシュバック特典
前述しましたが、車の返却時に清算金がある場合に、その分の金額がキャッシュバックされます。
ただし、スズキの新車に乗り換えることが適用条件となります。
かえるプランのメリット
1:月々の支払額が抑えられるのでワンランク上の車を選ぶことができる
かえるプランを含む残価設定プランでは、月々の支払額が抑えられるので、予定の車のワンランク上の車を購入できるというメリットがあります。
同じ車種だとしてもグレードを上げるとか、そういう車の選び方もできますね。
人気のスライドドアの車種ならば、左右とも電動スライドドアのグレードにアップしたり、軽自動車を購入予定だったところを登録車にしてみたり、ちょっとした贅沢ができるのもかえるプランのメリットです。
2:新車を乗り継いでいける
例として3年プランだったら、購入した車の1回めの車検を受ける前に新しい新車に乗り継いでいけば、車検整備代を支払うことなく新車に乗ることができます。
中古車の購入の予定が全く無い人や、車検整備を受ける費用が無駄だと感じていて、定期的に車に乗り換えることを好んでいる人には魅力的なプランです。
3:車を使用する期間が限定されている
単身赴任や出張など、ある程度の期間が決まっているような場合は、かえるプランは有利です。
ある特定の期間の分だけの費用を支払うと割り切って乗っていれば、3年なら3年間の費用だけ支払えばよいのですから、合理的な購入方法と言えるでしょう。
4:近所乗りが多い、年間走行距離が少ない
距離の制限があるかえるプランでは、年間走行距離の少ない方が圧倒的に有利といえます。
かえるプランでは、年間走行距離は40000kmまでとされていますから月平均にすると1100kmほどです。
ですので、この走行距離をオーバーしないように使える人が得をするようになっていますので、走行距離が少ない方が有利なプランとなっています。
5:外装と内装ともにきれいな状態を保持できる人
外装のヘコミや傷、内装の汚れや臭いは減点の対象となります。
バンパーを擦ったりしたり、何かにぶつけてへこましたりするような運転をしない自信がある方には有利なプランだといえるでしょう。
36回プランの場合は、契約終了後に車の査定を受けます。
その中で、外装の傷やヘコミや内装の状態がチェックされますので、あまりに大きな傷、修復歴の有無などは大きな減点の原因となりますし、不足分は追金として支払わなければなりません。
ただし、車の査定時に減点になるような傷やヘコミ、内装の状態もきれいにしておける自信がある方は、かえるプランの購入に適しているといえるでしょう。
かえるプランのデメリット
1:値引き交渉ができない
本来、新車ディーラーで新車を購入する際には値引き交渉をすると思います。
ですが、かえるプランでの購入の場合、車両本体価格の値引き交渉はできません。
正確には、まったく値引き交渉ができないわけではないのですが、車両本体の価格を値引きことはできなく、ディーラーオプションなどの付属品での値引きとなるようです。
ただ、ディーラーによっても違ってくるようなので、まったく値引きできないケースもあるようです。
2:車をカスタマイズできない
かえるプランでの購入時に付けたオプションを含めて、購入した状態での返却が決まり事となっていますので、車の改造やカスタマイズはできません。
改造した状態での返却はできないので、仮に、カスタマイズした場合はノーマルの状態に戻して査定を受ける必要があります。
ですので、購入した車を好みの仕様にしたい方にはかえるプランは適していない購入方法です。
3:車両の状態により追金の支払いの可能性も
かえるプランは契約終了時に車の査定を行います。
その時に、外装の傷やヘコミなどの確認と修復歴の有無の確認を行い、内装の状態もチェックします。
特に、内装に関しては臭いが厳しくチェックされるので、ペットを乗せたりする機会が多い人やタバコを吸う人は査定時に不利になるでしょう。
子供がいる家族の場合は、車内での飲食でシートに汚れやシミが残ると減点の対象となります。
4:金利優遇を受けられる人には不利
銀行などの金融機関に一定の信用がある人の場合は、一般的なローンを組んだほうがトータルの支払いが安くなることが多いです。
かえるプランを利用する時には契約後に返却の予定だったとしても、予定を変更して再クレジットを組んで乗り続けることを選択した場合、総額の支払額が優遇金利の一般ローンのほうが安くなります。
ですので、このような方がかえるプランのような残価設定クレジットを利用する場合は、契約期間が終了したら返却して、あらたに優遇金利でローンを組んで車を購入したほうが良いケースが多いです。
5:車購入の選択肢が狭まる、縛られる
かえるプランでは、契約終了後に3つの方法を選択します。
- スズキの新車に乗り換え
- 車を返却
- 乗り続ける
ですので、最低でも車の査定を受けた上で車を返却する必要があります。
購入当初に返却する予定だっとしても、思わぬ事故を起こしたりして車の査定で追金請求などがあった場合、手元にお金がないと乗り続ける選択しかできないケースも出てきます。
そのような時に再クレジットを組むとしたら、かえるプランで購入する際に一般の長期ローンで購入しておけばよかったという状況になることもあります。
こうなると、新しい車を選ぶことすらできない状況になってしまいますので、選択肢が狭まってしまうわけです。
残価クレジットは本当に得なのか?
月々の支払い額を抑えてワンランク上の車に乗れる!
新車が半額で乗れる!
このような触れ込みで人気となった残価クレジットですが、本当にお得なのか?
それには、そもそも残価クレジットがどのような性質のサービスなのかを知る必要があります。
新車ディーラーは、当然ですが損をするようなことはしませんし、ユーザーにとってメリットがあるように思える残価クレジットでも利益を確保できるように計算されているはずですよね。
残価クレジットは顧客の囲い込みが目的?
一見、お得に見える残価クレジットですが、実は新車ディーラーの販促手法であるとも言われています。
36回や60回払いの設定が多い残価クレジットは、支払いが終わった時点でほぼ確実にユーザーと交渉することになります。
ユーザーは契約後に返却可能な状態であるかどうかを販売店に確認してもらう必要があるため、販売店に行く必要があるからです。
それに、36回や60回ということは一般的な買い替えのタイミングとも重なりやすい時期でもあるので、販売店側にとっては、あらたな商談をしやすい土壌が予め用意されているともいえます。
これが通常のローンでの購入であれば、ユーザーが買い替えを検討しても自社の車に買い換えてくれるのかも不透明な状況ですし、販売店にすら来ないことだって考えられるわけです。
走行距離が少ない、期間が限定される状況などが有利
前述しましたが、3年間なら3年間の走行距離に制限があるので、近所使いの距離が伸びない状況での使用や、残価クレジットと同様となる期間のみの使用など、残価クレジットを使うことで最大限のメリットが得られる状況の人でないと、残価クレジットでメリットを得られる人は多くはないと思います。
ですので、最初から5年以上乗ると決めていたり、乗り潰すまで車は買い換えないと決めている方には、月々の支払い額が低くなるとはいっても、お得とはいえないのが残価クレジットだといえるでしょう。
前述のかえるプランで3年プランを利用して月々の支払い額を少なくして3年後に乗り換える予定でいても、販売店への返却前に事故をしてしまったり、大きな傷やヘコミができてしまったり、内装でも状態が著しく悪いような場合は、残価での返却ができずに、再度ローンを組んで乗り続けるしかないユーザーもいるようですから、月々の負担額のお得さのみで安易に決めるのではなく、ライフスタイルに合わせて賢く選択できるような状況で利用すると良いかもしれません。